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2024年度の賃金改善の背景と影響

2024年度に賃金改善を計画する企業が6割に上り、賃上げ率は前年度を大きく上回る平均4.16%になるという調査結果が、帝国データバンクから発表されました。この記事では、この調査結果の背景と影響について考察します。

背景:物価上昇と人手不足が賃上げを促す

2024年度の賃金改善の背景には、物価上昇と人手不足の2つの要因があります。まず、物価上昇は、原油価格の高騰や円安による輸入品の値上がり、消費税率の引き上げなどによって引き起こされました。2023年10月の消費者物価指数(生鮮食品を除く)は、前年同月比で2.9%と、依然として高い水準を維持しています。物価上昇によって、家計の実質的な購買力が低下し、個人消費の減速につながります。このため、政府や連合(日本労働組合総連合会)は、物価上昇に対応するために、賃上げを求めています。

 

 

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次に、人手不足は、少子高齢化外国人労働者の不足などによって引き起こされました。2023年11月の有効求人倍率は、1.64倍と、過去最高を更新しました。人手不足によって、企業は人材の確保や定着に苦労しています。このため、企業は、賃金を引き上げることで、従業員のモチベーションや満足度を高め、離職率を低下させることを狙っています¹。

影響:賃上げが景気回復の足腰を強化する

2024年度の賃金改善の影響には、ポジティブな面とネガティブな面があります。ポジティブな面としては、賃上げによって、家計の所得が増加し、個人消費が拡大することが期待されます。個人消費は、日本のGDPの約6割を占める重要な要素です。個人消費の増加は、景気回復の足腰を強化することになります。また、賃上げによって、従業員の生産性や創造性が向上し、企業の競争力や収益力が高まることも期待されます。 ネガティブな面としては、賃上げによって、企業の人件費が増加し、利益率が低下することが懸念されます。特に、価格転嫁ができない中小企業やサービス業などは、賃上げの負担が大きくなります。賃上げが企業の業績悪化に拍車をかける可能性もあります。実際、2023年は「人件費高騰」による倒産が過去最多の59件発生しました⁵。また、賃上げによって、インフレ圧力が強まり、日銀の金融政策の正常化が早まる可能性もあります。金融政策の正常化は、金利の上昇や株価の下落など、経済に悪影響を及ぼす恐れがあります。

 

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まとめ:賃上げは経済の好循環を生むか

2024年度の賃金改善は、物価上昇と人手不足の2つの要因によって促されています。賃上げには、ポジティブな面とネガティブな面がありますが、ポジティブな面がネガティブな面を上回ることが望まれます。賃上げによって、家計の所得が増加し、個人消費が拡大することで、景気回復の足腰が強化されることを期待します。また、賃上げによって、従業員の生産性や創造性が向上し、企業の競争力や収益力が高まることを期待します。賃上げが経済の好循環を生むことになるかどうか、今後の動向に注目です。